「嫌だ。行かない」 蒼大は面倒くさそうに吐き捨てた。 「今日はこのゲームをクリアするって決めてるから」 ゲームに熱中していた時期だった。パソコンの前に座り、時間を忘れてキーボードを叩き続けていると、末っ子の芽生がいきなり腕を掴んで駄々をこね始めた。 「セーブすればいいじゃん! ねえ、遊園地! 遊園地行こうよ!」 「そうだよ、蒼大」 よりによって、長男の悠人まで芽生の肩を持った。 「ゲームはいつでもできるだろ。今日は三人で出かけようよ」 「嫌だってば」 蒼大は画面から目を離さず、強く首を振った。 「遊園地だっていつでも行けるだろ。今はここ、大事な場面なんだよ」 「でもこの前、一緒に行くって約束したじゃん」 「今は無理。本当に今やらないとダメなんだって」 芽生が唇を噛み、怒りをあらわにし始めると、悠人がため息混じりに言った。 「じゃあ、いつなら行けるの?」 「また今度。いつでもいいだろ」 蒼大は適当に答えを返した。 「次は絶対に行くから。今日は許して、芽生」 「……わかった」 芽生は不満げな顔を隠そうともせずに言った。 「次誘ったときは、必ず約束守ってよね」 「わかった、わかった」